脳トレ×運動で頭は変わる?コグニサイズを1ヶ月試してわかったこと

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脳は「使えば使うほど元気になる」ユニークな臓器です。
本記事では、脳トレやコグニサイズを中心に、
毎日の生活をもっと軽やかにするためのアイデアをまとめました。
楽しみながら脳を鍛える習慣を一緒に作っていきましょう。

はじめに

最近、脳トレや認知症予防の話題を耳にすることが増えてきました。
難しいことをしなくても、ちょっとした工夫や習慣を取り入れるだけで、
脳はしっかりと応えてくれます。

このブログでは、毎日続けやすい脳トレや運動習慣を紹介しながら、
「今日からできる脳の元気づくり」をサポートします。

1.脳トレ×運動が注目される理由

「脳トレか、それとも運動か」――どちらか一方を選ばなきゃいけないと思っていませんか?私も最初はそう思っていたんですが、調べていくうちに、実はこの2つを組み合わせることに大きな意味があると知りました。この章では、なぜ今「脳トレ×運動」が注目されているのか、その理由を整理していきます。

脳トレだけ・運動だけでは足りない理由

脳トレと運動はどちらか一方だけでは効果が偏ってしまいます。これが、組み合わせが注目されている一番の理由なんです。

理由はこうです。パズルや計算問題といった脳トレは、確かに頭は使いますが、体を動かさないぶん血流や体力面へのアプローチが弱くなります。一方で運動だけだと、体の健康には効果的でも、脳への直接的な刺激としてはやや物足りないんですね。

実際、脳トレゲームだけを続けた場合の研究では、そのゲーム自体は上達しても、記憶力や判断力といった日常生活での能力にまでは効果が広がりにくいという指摘があります。アメリカの脳トレアプリ「Lumosity(ルモシティ)」を提供していた会社が、2016年に効果を誇張した広告について米連邦取引委員会から200万ドルの制裁金を科された、という出来事もありました。これを知ったとき、正直「脳トレだけに頼るのは危ういな」と感じたんです。

  • 脳トレのみ:特定の能力は伸びるが、日常生活への波及効果は限定的
  • 運動のみ:体力・血流は改善するが、脳への直接刺激としては弱い
  • 組み合わせ:両方の弱点を補い合える

つまり、どちらか一方に絞るのではなく、両方を意識することが大切な考え方になってくるわけです。

運動が脳の血流・神経成長因子に与える影響

先ほど運動が脳に良い影響を与えると触れましたが、ここではもう少し具体的に、体を動かすことが脳の中で何を起こしているのかを見ていきます。

まず押さえておきたいのが、運動によって脳内の神経成長因子(神経細胞の発育や維持を助けるタンパク質)が増えるとされている点です。加えて、有酸素運動を行うと脳への血流量が増え、記憶をつかさどる海馬(かいば:脳の中で記憶の形成に関わる部分)の働きが活性化しやすくなるとも言われています。

反対に、長時間座りっぱなしの生活が続くと血流が滞り、脳の働きが鈍くなりやすいことも分かってきています。あなたも、長く座って作業したあとに頭がぼーっとする感覚、味わったことがあるんじゃないでしょうか。私自身、デスクワークが3時間を超えたあたりから明らかに思考が鈍くなる感覚があって、これを知ってから意識的に途中で立ち上がるようにしています。

  • 有酸素運動で脳への血流量アップ
  • 神経成長因子の分泌が促される
  • 座りっぱなしは血流悪化のリスクにつながる

運動は体だけでなく、脳のコンディションにも直結しているというわけなのです。

「コグニサイズ」とは何か

ここまでの内容を踏まえると、「じゃあ具体的にどう組み合わせればいいの?」という疑問が出てきますよね。その答えの一つが、国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」というプログラムです。

コグニサイズとは、英語の cognition(認知)と exercise(運動)を組み合わせた造語で、頭を使う認知課題と体を動かす運動課題を同時に行う点が最大の特徴です。先ほどの足踏み計算体操のように、座ってじっくり考える従来の脳トレとは違い、全身を動かしながら考えることを求められます。

国立長寿医療研究センターが行った研究では、MCI(軽度認知障害:認知症ではないものの、以前より認知機能が低下している状態)の高齢者を対象に、コグニサイズを含む運動プログラムを週1回、合計40回実施したところ、記憶力や言語機能、全般的な認知機能の維持・改善が確認されたと報告されています。私はこの40回という数字を見たとき、「毎日でなくても、週1回の積み重ねで変化が出るんだ」と少し意外に感じました。

  • コグニサイズ=認知課題+運動課題を同時に行う取り組み
  • 国立長寿医療研究センターが開発
  • 週1回×40回の実施で認知機能維持の効果が報告されている

脳トレと運動を組み合わせる理由が見えてきたところで、いよいよ次は実践編です。実際に私が試してみたメニューを、体験談を交えながらお伝えしていきます。

次の章では、このコグニサイズの考え方をベースにした、自宅で今日から試せる具体的なメニューを紹介していきますね。

2.自宅で今日からできる脳トレ×運動メニュー4選

「脳トレも運動も大事なのは分かったけど、結局何をすればいいの?」って思いますよね。私も最初はそこで止まってしまいました。ここでは道具なしで今日から始められるメニューを、実際に私が試した感触も交えて紹介します。

足踏みしながら計算する「足踏み計算体操」

これが一番手軽で続けやすかったです。やり方はシンプルで、その場で足踏みをしながら「3の倍数で手を叩く」「100から7ずつ引き算する」といった課題を同時にこなすだけです。

なぜこれが効くかというと、体を動かす作業(運動課題)と頭で計算する作業(認知課題)を同時に行うことで、脳の前頭前野(考えたり判断したりする部分)に普段より強い負荷がかかるからです。片方だけやるより、明らかに頭が疲れる感覚があります。

私が実際にやってみたときは、最初の10秒で計算のペースが崩れて足を止めてしまいました。慣れてきた5日目くらいからは、歩くリズムを保ったまま引き算できるようになって、「あ、脳が追いついてきた」と実感できた瞬間があったんです。

  • 足踏み20歩を目安にスタート
  • 引き算・かけ算どちらでもOK
  • 慣れたら歩数を増やして負荷アップ

最初はできなくて当たり前なので、間違えるたびに落ち込まなくて大丈夫ですよ。

握力をつけながらクイズ問題を解く

このメニューは、私が個人的に一番気に入っているやり方です。100円ショップなどでも手に入るハンドグリップ(握力を鍛える器具)を握りながら、同時に簡単なクイズやなぞなぞを解いていきます。

理由はシンプルで、手指への負荷という新しい刺激を加えることで、先ほどの足踏み計算体操とは違う脳の使い方ができるからです。握る力を意識しながら考えると、「あれ、握る手が止まると思考も止まる」という不思議な連動を感じることがあります。

私の場合、ハンドグリップを10回握る間に四字熟語クイズを1問解く、というルールで試しました。最初の3日間は握ることに意識が向きすぎてクイズがまったく頭に入ってこなかったんですが、1週間続けたあたりから「握りながら考える」のがようやく自然にできるようになったんです。握力測定はしていませんが、体感として握る力も強くなった気がしています。

  • ハンドグリップは軽めの負荷(10〜15kg程度)から
  • クイズは漢字・ことわざ・都道府県名など何でもOK
  • 握る回数とクイズの問題数を決めて習慣化する

道具を使うぶん準備は少し手間ですが、その分「今日はこれをやる」という区切りがつけやすいのがいいところです。

片足立ちしながらしりとりをする

3つ目に紹介したいのが、片足立ち(バランス運動)としりとりを組み合わせるメニューです。やり方はいたってシンプルで、片足立ちの状態を保ちながら、しりとりを声に出して続けていくだけなんです。

片足立ちはバランス感覚を保つために体幹(たいかん:お腹や背中まわりの筋肉群)を常に細かく調整し続ける必要があり、そこに言葉を思い出す作業が加わることで、先ほどの2つとはまた違う種類の負荷がかかります。足踏み計算体操が「リズム×数字」だったのに対し、こちらは「静止バランス×言葉」という組み合わせです。

私が試したときは、片足立ちだけなら30秒くらい平気だったのに、しりとりを始めた途端に10秒ほどでぐらついてしまいました。「言葉を思い出すことにこんなに集中力を持っていかれるんだ」と、正直かなり驚いたのを覚えています。3週目に入った頃には、ようやく1分近く安定して立てるようになりました。

  • 片足立ち10〜15秒を目安にスタート
  • 転倒が心配な場合は壁や机に手を添えて行う
  • 左右の足を交互に行い、バランスの偏りを防ぐ

バランスを崩しそうになったら無理せずすぐに足をつくようにしてくださいね。安全第一で進めていきましょう。

指を使った「グーパー体操」に条件を加える

最後に紹介するのは、両手を使った「グーパー体操」に、ちょっとしたルールを加えたメニューです。基本の動きは、右手をグー、左手をパーの状態から、リズムに合わせて交互に入れ替えるだけ。ここに「3回に1回は逆の手を出す」という条件を足していきます。

なぜこの条件が効くのかというと、体が覚えている動きのパターン(グー→パー→グー→パー)を、あえて崩す作業が加わるからです。無意識にできる動きほど、途中でルールを変えられると脳は強く戸惑うものなんです。先ほどの片足立ちしりとりが「バランス×言葉」だったのに対し、こちらは「手の動き×ルール変更」という組み合わせです。

私がこれを試したときは、10回中3回目・6回目・9回目で逆の手を出すというルールにしたんですが、最初は数えることに気を取られて手の動き自体が止まってしまいました。慣れてくると、数えながらでも自然と手が動くようになり、「体が覚えたパターンを頭で上書きする」感覚が少しずつつかめてきたんです。

  • 最初は「3回に1回」など、シンプルな条件から始める
  • 慣れたら条件を2つに増やす(例:5回に1回も追加)
  • 立ったまま行えば、軽い運動効果も同時に得られる

座ったままでも立ったままでもできるので、テレビを見ながらのスキマ時間にも取り入れやすいメニューですよ。


ここまで紹介した4つは、家の中で道具をほとんど使わずに始められるものでした。次の章では、デイサービスや介護の現場でも実際に使われている、グループ向けの脳トレ運動レクリエーションをお話ししていきますね。

3.デイサービス・介護現場で使える脳トレ運動レクリエーション

自宅での一人メニューは紹介しましたが、実は脳トレ運動って一人でやるより誰かと一緒にやったほうが効果的だという話、聞いたことありますか?ここではデイサービスや介護の現場で実際に取り入れられているレクリエーションを、指導する側の視点も交えて紹介していきます。

グループで盛り上がる2人組体操

2人組で行うじゃんけん系の体操はレクリエーションの中でも特に盛り上がりやすいメニューです。やり方は、椅子に座って向かい合い、普通のじゃんけんに「勝った方が両手を上げる」「あいこの時だけ足踏みする」といった条件を加えるだけなんですよね。

理由は単純で、ルールが増えるほど「とっさの判断」を求められる場面が増え、脳の前頭葉(判断や切り替えを担う部分)への刺激が強くなるからです。一人で黙々と取り組む計算問題とは違い、相手の動きを見ながら反応する分、予測できない負荷がかかります。

私が見学させてもらったあるデイサービスでは、この2人組体操を導入した初日、利用者さんの多くが条件を忘れて普通にじゃんけんしてしまい、会場全体が笑いに包まれていました。この「間違えて笑う」瞬間こそが、実は一番の狙いなんです。間違えることを楽しめる空気があると、参加者同士の会話も自然に増えていくんです。

  • 2人1組、椅子に座って向かい合う
  • 基本ルールに条件を1つだけ追加してスタート
  • 慣れたら条件を2つに増やして難易度アップ
  • 5分程度で区切り、休憩を挟みながら行う

一人だとどうしても淡々とこなす作業になりがちですが、誰かと一緒だと「間違えたら恥ずかしい」より先に「間違えたら面白い」という感覚が生まれやすいんです。あなたも、家族と2人でこのじゃんけん体操をやってみると、意外な盛り上がり方をするかもしれませんよ。

難易度調整で気をつけたい声かけのコツ

ここで一つ、現場で強く言われていたことをお伝えします。それは、難易度を上げること自体よりも「できなかった時の声かけ」のほうがずっと重要だということなんです。

なぜかというと、脳トレ運動に取り組む方の多くは「昔はできていたのに、今はできない」という感覚を抱えているからです。ここで「なんでできないんですか」といったニュアンスの声かけをしてしまうと、せっかくの取り組みが自信を失わせる体験に変わってしまいます。

実際、先ほどの2人組体操を指導していたスタッフの方は、参加者が条件を間違えた瞬間に「今のいい間違え方でしたね」とすぐに声をかけていました。正解・不正解を評価するのではなく、間違え方そのものを面白がる言い方をしているのが印象的だったのです。私はこれを聞いて、正直「そこまで言葉を選ぶものなんだ」と驚きました。

  • 「間違えた」ではなく「惜しかった」と言い換える
  • できたことを先に、できなかったことは後に伝える
  • 難易度は本人の様子を見ながら1段階ずつ上げる

声のかけ方一つで、同じ体操でも参加者の表情がまったく違って見えるものです。難しい課題に挑戦してもらう分、言葉選びには普段より少し丁寧さを加えてみてください。


グループでのレクリエーションは、一人で行う脳トレ運動とはまた違った効果や楽しさがあることが伝わったでしょうか。次の章では、そもそもこうした脳トレ運動に本当に効果があるのか、最新の研究データをもとに検証していきます。

4.脳トレと運動は本当に効果があるのか?最新研究から検証

ここまで脳トレと運動を組み合わせるメリットをお伝えしてきましたが、「そもそも脳トレ自体、本当に効果あるの?」と疑問に思う方もいますよね。私も調べる前は半信半疑でした。この章では、その疑問に正面から向き合って、賛否両方の研究データを見ていきます。

脳トレゲーム単体の効果には限界があるという指摘

脳トレゲームだけを続けても、期待するほどの効果は得られにくいというのが最近の研究の流れです。

理由は、脳トレゲームで鍛えられる能力が、そのゲーム自体への習熟にとどまりやすいからです。計算ゲームを続ければ計算は速くなりますが、それが記憶力や判断力といった別の能力にまで波及するかというと、そこまでの根拠は乏しいとされています。

先ほどの章でも触れましたが、脳トレアプリ「Lumosity」を提供していた会社が2016年に根拠のない効果を謳ったとして200万ドルの制裁金を科された件は、この限界を象徴する出来事でした。2018年にも、クロスワードパズルや数独が記憶力・思考力を改善する効果はないとする研究が発表されています。正直、これを知ったときは「今まで信じていたものが崩れる」ような感覚がありました。

  • 脳トレゲームの効果は、そのゲーム自体の上達にとどまりやすい
  • 日常生活の認知能力全般への波及効果は乏しいとされる
  • 2018年の研究では記憶力・思考力への改善効果が否定されている

つまり、脳トレ=万能というわけではないという前提を、まず知っておく必要があるんです。

運動を組み合わせた場合の研究結果

一方で、脳トレに運動を組み合わせた場合はどうなのか。ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントなんですが、実は評価が大きく変わってきます。

福岡県のあるコラムで紹介されていた研究データでは、「筋トレのみ」「脳トレのみ」「筋トレ+脳トレ」「何もしない」の4グループを比較したところ、筋トレの効果が脳トレよりもずっと高く、さらに組み合わせたグループで良い結果が出たことが示されています。単体の脳トレでは限界があっても、運動という要素が加わることで話が変わってくるわけです。

さらに、前章で紹介したコグニサイズの研究でも、MCI(軽度認知障害)の高齢者を対象に週1回×40回のプログラムを実施した結果、記憶や言語機能、全般的認知機能の維持・改善効果が確認されています。私はこの2つのデータを見比べて、「脳トレ単体」への懐疑と「脳トレ+運動」への肯定的な結果が、同じ土俵で語られていない点に気づいたんです。批判されているのはあくまで“脳トレだけ”のケースで、運動と組み合わせた場合はまた別の話なんですね。

  • 筋トレ+脳トレの組み合わせが、脳トレ単体より高い効果を示した研究がある
  • コグニサイズでも記憶・言語機能の維持効果が報告されている
  • 「脳トレ効果なし」という指摘の多くは脳トレ単体を対象にしたもの

脳トレと筋トレ、結局どちらが優先か

ここまでの内容を踏まえると、「結局どちらを優先すればいいの」という疑問が残りますよね。

先ほど紹介した4グループ比較の研究では、筋トレの効果が脳トレよりも高いという結果が出ていました。これを踏まえると、時間が限られている場合は、スクワットや腕立て伏せといった筋力トレーニング(レジスタンス運動)を優先し、余裕があれば脳トレ要素を足していく、という考え方が現実的だと私は感じています。

ただし、これは「脳トレが不要」という意味ではありません。第2章で紹介した足踏み計算体操のように、運動と認知課題を同時に行うことで、筋トレ単体よりもさらに脳への刺激を強められる可能性があるからです。あなたがもし「どちらか一つしか続けられない」というなら、まずは体を動かすことから始めてみるのも一つの手だと思いますよ。

  • 時間が限られる場合は筋力トレーニングを優先
  • 余裕があれば認知課題を組み合わせてさらに負荷を高める
  • 「どちらか」ではなく「まず体を動かす」を入口にするのも一案

効果への疑問にも一通り向き合えたところで、次は「どうすれば無理なく続けられるか」という実践面のコツについてお話ししていきます。

5.続けるためのコツと注意点

効果があると分かっても、続かなければ意味がないですよね。実際、私も最初の1週間は張り切っていたのに、気づいたら3日サボっていた、なんてことがありました。この章では、無理なく続けるための工夫と、始める前に知っておきたい注意点をお伝えします。

無理なく継続するための工夫

続けるコツは「頑張りすぎないハードル設定」にあります。最初から高い目標を掲げると、達成できなかったときに一気にやる気が落ちてしまいますよね。

脳トレ運動は即効性のあるものではなく、コグニサイズの研究でも週1回×40回、つまり約10ヶ月という期間をかけて効果が確認されていたからです。短期間で結果を求めてしまうと、変化を感じられないまま挫折しやすくなります。

私自身、最初は「毎日30分やる」と意気込んでいたんですが、3日目で疲れて完全にやめてしまいました。そこで発想を変えて「1日5分、足踏み計算体操だけ」というルールに落とし込んだところ、今では2ヶ月以上続けられています。ハードルを下げたことで、逆に継続できたんですよね。

  • 最初は1日5〜10分など、小さな目標から始める
  • カレンダーやアプリに記録をつけて「見える化」する
  • できなかった日があっても、翌日再開すればOKとする

あなたも「毎日きっちり」より「ゆるく長く」を意識してみると、案外続けられるものですよ。

体調管理・安全面での注意点

もう一つ大事なのが、体を動かす以上、安全面への配慮も欠かせないという点です。ここを飛ばして張り切りすぎると、思わぬケガにつながることがあります。

コグニサイズのような運動と認知課題を同時に行うプログラムでは、実施前に血圧や脈拍を測定し、その日の体調を確認したうえで、首や肩、足首といった関節を軽く動かすウォームアップを行うことが基本の手順とされています。これは、認知課題に意識が向くぶん、体の動きへの注意がおろそかになりやすいためなのです。

私が見学したデイサービスでも、体操を始める前に必ず数分間、参加者一人ひとりの様子を確認してからスタートしていました。特に持病のある方や体調がすぐれない日には、無理に難易度の高い課題を行わせず、座ったままできる内容に切り替えるといった配慮がされていたのが印象的でした。

  • 開始前に体調確認と軽いウォームアップを行う
  • 体調がすぐれない日は無理せず簡単なメニューに切り替える
  • 立位で行う場合は、転倒しにくい場所を選んで実施する

体を動かす楽しさを味わうためにも、安全があってこそだということは、忘れずにいたいポイントですね。


続け方と注意点が分かったところで、次はいよいよ私自身が実際にこれらのメニューを試してみた体験談をお話しします。

6.私が実際にやってみて感じたこと

ここまで理屈や研究データを中心にお話ししてきましたが、この章では少し視点を変えて、私が実際にこれらのメニューを試して感じたことを率直にお伝えします。「結局のところ、やってみてどうだったの?」というのが、一番気になるところだったりしますよね。

始めて1ヶ月で変わったこと

一番の変化は「頭を使う前に体を動かすクセ」がついたことでした。数字や記憶力そのものより先に、生活の習慣の方が変わったんです。

理由を考えてみると、先ほどの章で触れた足踏み計算体操やハンドグリップクイズを続けるうちに、「何かを考える前に、まず体を動かしてみる」という順番が自然と身についたからだと思います。以前の私は、考え事をするときはずっと座ったままでした。今は、行き詰まったときに少し歩きながら考える、という選択肢が増えたんです。

具体的には、仕事で企画のアイデアが出てこないとき、以前なら机の前で1時間粘っていたのが、今は5分ほど室内を歩き回ってから戻るようになりました。これをやり始めてから、明らかにアイデアが出るまでの時間が短くなった実感があります。研究で言われていた「運動が脳の血流を増やす」という話を、身をもって体験できた瞬間でした。

  • 考える前に体を動かす習慣がついた
  • 行き詰まったときの対処法が1つ増えた
  • 「運動→思考」の順番の方が自分には合っていると気づいた

やってみて初めて分かった難しさ

一方で、良いことばかりではありませんでした。正直に言うと、思っていたより「続けること」自体が難しかったです。

理由は、体調や気分の波によって、同じ課題でも日によって難易度の感じ方がまったく違ったからです。ある日は足踏み計算体操が驚くほどスムーズにできたのに、別の日は簡単な引き算すら足のリズムに追いつかない、ということがありました。前の章で「小さな目標から始める」というコツをお伝えしましたが、それでも波がある日は正直しんどいと感じることがあったのです。

さらに、一人で黙々と続けていると、うまくいかない日が続いたときに「これ意味あるのかな」と疑いたくなる瞬間もありました。そんなときに支えになったのが、デイサービスで見学した2人組体操の光景です。誰かと一緒にやっている人たちの「間違えても笑い合える」空気を思い出すと、一人でも「間違えていい」と思い直せたんですよね。

  • 体調や気分によって難易度の感じ方が変わる
  • 一人で続けると、モチベーションが下がる日がある
  • 「間違えても大丈夫」という感覚を持てると続けやすい

あなたがもしこれから始めるなら、最初からうまくいかなくても、それが普通なんだと思っておいてもらえたらと思います。
私自身の体験を踏まえたうえで、次の章ではよくある疑問にひとつずつお答えしていきます。

7.よくある質問(Q&A)

ここまで理屈や体験談をお話ししてきましたが、実際に始めようとすると、細かい疑問が出てくるものですよね。この章では、私自身も始める前に感じていた疑問を中心に、Q&A形式でまとめてお答えします。

Q1. 何歳から始めればいい?

年齢に明確な下限はありません。コグニサイズの研究でも対象になっていたのはMCI(軽度認知障害)の高齢者でしたが、脳と運動を組み合わせる考え方自体は、年齢を問わず取り入れられるものです。

脳の血流や神経成長因子への働きかけは、加齢による衰えを予防する目的だけでなく、若い世代の集中力維持にも通じる仕組みだからです。第1章でお伝えした通り、座りっぱなしの生活が血流を悪化させるという話は、40代でも20代でも変わりません。

私自身、30代でこの記事のメニューを試していますが、「高齢者向け」という先入観で敬遠する必要はまったくないと感じました。むしろ早いうちから習慣にしておいた方が、将来的な負担は少なくなるはずです。

  • 年齢による明確な下限はない
  • 血流・神経成長因子への働きかけは全世代に共通する仕組み
  • 早いうちから習慣化しておくメリットは大きい

Q2. 一人でも効果はある?

一人でも十分に取り組む意味はあります。ただし、第6章でお伝えした通り、モチベーション維持という点ではグループの方が続けやすい面があるのも事実です。

脳トレ運動の効果自体は、認知課題と運動課題を同時に行うという仕組みそのものから生まれるものであり、一人か複数かは効果の有無を直接左右しないからです。第3章で紹介した2人組体操も、条件を一人用にアレンジすれば同じような負荷をかけることができます。

私の場合、足踏み計算体操もハンドグリップクイズも一人で行っていましたが、負荷という意味では十分に頭を使っている実感がありました。ただ、うまくいかない日に「これでいいのかな」と不安になりやすいのは、一人ならではの難しさだと感じています。

  • 一人でも認知課題+運動課題の効果自体は得られる
  • 継続のしやすさという点ではグループに一定の利点がある
  • 不安を感じたら、家族や友人を誘ってみるのも一つの方法

Q3. どのくらいの期間で効果が出る?

数日で劇的な変化を感じられるものではありません。第4章で紹介したコグニサイズの研究では、週1回のプログラムを40回、つまり約10ヶ月続けた結果として、記憶力や言語機能の維持・改善が確認されていました。

脳の神経ネットワークが変化するには、一定の反復と時間が必要だからです。第5章でお伝えした通り、短期間で結果を求めてしまうと、変化を感じられずに挫折しやすくなります。

私自身、第6章で触れた「考える前に体を動かすクセ」がついたと実感できたのは、始めてから1ヶ月ほど経った頃でした。数値化できるような劇的な変化ではなく、生活の中の小さな行動パターンの変化として、じわじわ表れてくるものだと思っておくとちょうどいいですよ。

  • 数日〜1週間では明確な変化は感じにくい
  • 研究データでは数ヶ月単位の継続で効果が確認されている
  • 変化は「生活習慣の変化」として少しずつ表れやすい

Q4. 道具やお金は必要?

道具もお金もほとんどかけずに始められます。第2章で紹介した足踏み計算体操は道具不要ですし、ハンドグリップクイズで使う握力器具も、100円ショップで手に入る程度のもので十分です。

理由は、脳トレ運動の本質が「体を動かしながら頭を使う」という組み合わせそのものにあり、専用の高価な器具を必要とする仕組みではないからです。デイサービスで行われている2人組体操も、椅子さえあれば実施できる内容でした。

私が実際に使った道具は、1個300円ほどのハンドグリップだけです。それ以外の足踏み計算体操やクイズは、紙とペンすら使わずに取り組めました。「お金がかかりそうだから」という理由で始めるのをためらっているなら、その心配はいらないと思いますよ。

  • 基本的なメニューは道具なしで実施できる
  • 握力器具などを使う場合も数百円程度で揃う
  • 高価な専用器具は必須ではない


ここまでの疑問で、気になっていた点は解消できたでしょうか。

まとめ

ここまで、脳トレと運動を組み合わせる理由から、具体的なメニュー、効果の検証、そして私自身の体験談まで、かなり長くお話ししてきました。

あなたも、いきなり毎日30分やろうとせず、まずは1日5分の足踏み計算体操から始めてみませんか?正解や不正解にこだわらず、間違えることも含めて楽しむくらいの気持ちで、今日から一歩を踏み出してもらえたら嬉しいです。

グッズを揃えてモチベーションをあげたい方にはこちらもおススメですよ!



【参考文献・引用元】

・国立長寿医療研究センター「認知症予防運動プログラム『コグニサイズ』」

・健康長寿ネット「コグニサイズ-認知症予防へ向けた運動-」

・桜十字 Let’sリハ!「【介護予防コラム㉙】認知症の予防トレーニングに、脳トレ×運動のコグニサイズ」

・ハルメク美と健康「コグニサイズ(認知症予防体操)とは?メニュー&効果」

・福岡県社会福祉協議会(ふくろうコラム)「『脳トレ』より『筋トレ』!高齢者の認知機能を守るためには」

・本の話(文藝春秋)「【悲報】『脳トレで頭はよくならない!』脳科学の新常識が教える”不都合な真実”」

・STUDY HACKER「『脳トレ』って本当に効果あるの? 最新研究で真実が明らかに」

・日本経済新聞「脳を鍛えるコツ3つ 脳トレは筋トレより早く効果あり」

・リハブクラウド「【高齢者向け頭の体操】クイズだけじゃない!楽しめる脳トレ体操6選」

※上記は本文執筆時(2026年9月時点)の情報です。掲載内容は変更される場合がありますので、正確な最新情報は各リンク先でご確認ください。

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